住宅ローン控除(減税)とは?所得税以外からも控除可能?計算方法は?

住宅ローンのイメージ

「住宅ローン控除ってどれくらい減税できるの?」「他の節税制度と併用できる?」

これから住宅ローンを利用して家を建てよう考えている方で、このような疑問をお持ちの方も多いと思います。

住宅ローン控除は、年間収入が多い人ほど節税率が大きくなるなど、知っておきたいポイントがたくさん。

そこで本ページでは住宅ローン控除の条件や簡単な計算方法、ふるさと納税や医療費控除との併用が可能かどうかなどについてわかりやすく解説していきます。

住宅ローン控除とは

家の模型とお金

「住宅ローン控除」とは簡単に言うと、住宅ローンを組むと税金を減額できる制度のこと。通称「住宅借入金等特別控除」と呼びます。

住宅を購入もしくはリフォームする個人が対象で、新築、中古それぞれに条件が定められているんです。

基本的には所得税から控除されますが、ある一定の条件を満たすと住民税から控除される場合があります。

ちなみに2019年10月に消費税が10%アップしたことにより、この制度を利用できる最長期間が10年から13年に変更されました(新築住宅のみ)。

住宅ローン控除の条件

住宅ローン控除は一軒家なのかマンションなのかではなく、新築なのか中古なのかで適用条件が異なります。

新築、中古、リフォーム・増築、土地購入の場合の4つの条件を見ていきましょう。

新築住宅の場合

家の設計図

【条件(新築住宅)】

  • 引渡し日から6ヶ月以内に居住し、引き続き居住している
  • 適用を受ける年の年間所得金額が合計2,000万円以下である
  • 登記簿に記載された床面積が50平方メートル以上であり、かつ床面積の1/2が専ら自己の居住用である
  • 住み始めた年分及びその前後2年分ずつの計5年の間に長期譲渡所得税の適用を受けていない
  • 10年以上の住宅ローン等により家屋を取得している
  • 配偶者及び取得時・取得後も引き続き生計を一にする親族のほか特別の関係のある者からの取得ではない

床面積の記述は、売買契約書と登記簿上では違う可能性があるので注意しましょう。

中古住宅の場合

モスグリーンカラーの家

【条件(中古住宅)】

  • 引渡し日から6ヶ月以内に居住し、引き続き居住している
  • 適用を受ける年の年間所得金額が合計2,000万円以下である
  • 登記簿に記載された床面積が50平方メートル以上であり、かつ床面積の1/2が専ら自己の居住用である
  • 住み始めた年分及びその前後2年分ずつの計5年の間に長期譲渡所得税の適用を受けていない
  • 10年以上の住宅ローン等により家屋を取得している
  • 配偶者及び取得時・取得後も引き続き生計を一にする親族のほか特別の関係のある者からの取得ではない
  • 建築後使用されたことがある家屋である事

上の条件に加えて、下記のいずれかの耐震基準を満たしていることが必須となることも覚えておきましょう。

  • 建築後20年(マンション等の耐火建築物の場合は25年)以内の中古住宅を取得/※軽量鉄骨造のものは耐火建築物には該当しない
  • 「建築住宅性能評価書」(耐震等級1~3)を取得したもの又は、既存住宅売買瑕疵保険」に加入
  • 「耐震基準適合証明書」を取得

どのような中古物件でもよいというわけではなく、新築の条件に加えて、耐震性なども必須になってくるのです。

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住宅ローン控除(減税)の詳細な要件については国税庁のサイト(→外部ページ)で確認してね。

 

リフォーム・増築の場合

ペイントセット

リフォーム・増築の場合にも、次のいずれかに当てはまれば住宅ローン控除が適用されます。

【条件(リフォーム・増築)】

  • 大規模なリフォーム
  • マンションの床、階段、壁の一定のリフォーム
  • 住宅、マンションのリビング、キッチン、浴室、トイレ、洗面所、納戸(なんど)、玄関、廊下の床、壁のリフォーム
  • 耐震リフォーム
  • バリアフリーリフォーム
  • 省エネリフォーム

ちなみにもうひとつの必要条件として、工事費が100万円超えることというものがありますので、その点も頭に入れておきましょう。

ただリフォーム・増築の内容によっては、適用される場合とそうでない場合があるので、まずは専門家に相談してから、住宅ローン控除の利用を検討することをおすすめします。

土地購入の場合

工事現場のイメージ

住宅ローン控除は、”住宅”に対する制度なので、土地を購入しただけでは適用されません。

土地を購入して2年以内に新築、もしくは建築条件付き土地を購入し建築請負工事契約を締結するのであれば、住宅ローン控除を適用させることが可能です。

住宅ローン控除額の上限と計算方法

電卓とペン

住宅ローン控除の上限は、年末に残ったローン残高の0.7%です。

例えば年末のローン残高が3,500万円であれば、3,500万円×0.007(0.7%)=24万5千円という計算になります。

その控除額は、翌年の所得税から控除(減税)されるという仕組みです。

また耐震性・耐久性・省エネなどの条件をクリアした「認定長期優良住宅」は、最大控除額が一般的な住宅よりもさらに増えるのもポイントになります。

 

控除額が上回る場合

控除額が上回ると、住民税から一部控除されます。

例えば、所得税10万円、控除額20万円の場合、控除額のほうが上回っているので、住民税が10万円を超えている場合に住民税から控除されるんです。

つまり、控除しきれない分はそのまま損になるという可能性は低いということですね。

いつ還付される?

ガラス瓶にコインを入れる

住宅ローン控除がいつ還付されるかも気になるところですよね。

住宅ローン控除は入居した翌年の確定申告のあとに還付されます。

例えば2021年の1月に入居した場合、2022年の2月16日~3月15日に確定申告を行い、e-Tax(電子申告)の場合3週間後、それ以外は1ヶ月から1ヶ月半で口座に振り込まれます。

申告は一度行ってしまえば次回からは勤務先の年末調整で手続きできるので、会社に勤めている方であれば毎年行う必要はありません。

ふるさと納税・医療費控除は併用できる?

住宅ローン控除とふるさと納税、医療費控除は併用可能なのか、損しない方法はあるのか、見ていきましょう。

ふるさと納税

豚の貯金箱が2つ

住宅ローン控除とふるさと納税は併用可能です。

ふるさと納税で控除を受ける方法として、“確定申告”と“ワンストップ特例制度”の2つの方法があります。

ワンストップ特例制度とは、確定申告無しでふるさと納税の寄付金控除受けられる制度のこと。

確定申告だと、控除額が下がる可能性がありますが、ワンストップ特例制度であれば住民税のみから控除されるため、併用しても控除額が減ることがありません。

ただし入居から翌年の1年目は、住宅ローン控除の確定申告が必須になります。

その場合ワンストップ特例制度を使っても無効になるため、1年目は確定申告をする必要があります。

医療費控除

お金のイメージ

住宅ローン控除と医療費控除の併用は可能。節税できるメリットが大きいのでぜひ申請しましょう。

医療費控除とは、1年の間に支払った医療費の合計が10万円を超えた、もしくは総所得の5%を超える場合に控除が受けられる制度です。

住宅ローン控除と同時申請すると医療費控除のほうが先に計算されるため、お得に節税することができます。

新型コロナウイルス感染症に関する配慮について

スケジュール帳と万年筆

2020年1月頃より国内で広まっている新型コロナウイルス。この新型コロナウイルスの影響を考慮し、住宅ローン控除についても特別な措置が出されました。

新型コロナウイルス感染症の影響で入居が遅れてしまっても、一定の条件を満たしていれば特別な措置がうけられることになりました。

たとえば中古住宅の場合、住宅の取得後に行った増改築工事などが新型コロナウイルス感染症、またはその蔓延防止措置の影響を受けて入居が遅れてしまった場合でも、一定要件を満たしていれば入居期限が「増改築等完了の日から6ヶ月以内」となります(通常は住宅の取得日から6ヶ月以内)。

また住宅ローン減税の控除期間の13年間についても、新型コロナウイルス感染症およびその蔓延防止措置の影響で期限(2020年12月31日)までに入居できなかった場合、一定要件を満たしたうえで2021年12月31日までに入居すれば特例措置対象になります。

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状況に応じて用件や適用範囲が変わる可能性があるんだ。詳しくは国土交通省「住宅ローン減税(→外部ページ)」で確認してね。

まとめ

住宅ローン控除は、一軒家でもマンションでも利用可能ですが、新築よりも中古の条件のほうが厳しくなっています。

また住宅ローン控除の確定申告は手続きが面倒かもしれませんが、年間収入が大きいほど節税に大きく影響するので忘れずに行うことをおすすめします。

ぜひ本ページでご紹介した計算方法を参考に、どれだけ節税できるのか見積もりを出してみましょう。