省令準耐火建物とは?省令準耐火構造の特徴や火災保険料について

プレーンな住宅

火災に強い家の構造のひとつに「省令準耐火構造の住宅(省令準耐火建物)」というものがあります。

このページでは、省令準耐火構造の住宅とは具体的にどんな家なのか?また、省令準耐火建物のメリットやデメリットをご紹介したいと思います。

省令準耐火建物とは?

図面に広げたミニチュアのブロック

省令準耐火建物とは、「独立行政法人住宅金融支援機構(→外部ページ)」が定めた構造基準に適合する建物を指します。

【省令準耐火建物の特徴】

  • 外部からの延焼防止
  • 各室防火
  • 他室への延焼遅延

 
上記のように、防火性能を持ち、建物の被害を最小限に抑えられるのが省令準耐火建物(省令準耐火構造の住宅)の特徴です。

以下、詳しく見ていきたいと思います。

外部からの延焼防止

隣家からのもらい火が原因の火災に備えて、屋根、外壁、軒裏の構造を防火性の高いものにする必要があります。例えば、火の粉による建物の火災を防止できるような不燃材料を屋根に使用する(市街地を想定)、外壁や軒裏は建築基準法が定める防火構造にする、などとしています。

各室防炎

火災の被害を最小限に食い止めるため、火災が発生しても一定時間、部屋から火を出さないようにする構造を指します。火災の発生源とその他の部分を完全に区切るため「防火区画化」が重要に。ようするに、他の部屋に火が広がりにくくなっているということですね。それに加えて、壁や天井といった室内内部には耐火性の高いせっこうボードを使用することで、火が柱などに燃え移るまでの時間稼ぎができ、初期消火や避難を可能としているわけです。

他室への延焼遅延

建物内部で火災が発生した場合、天井の裏や壁の内側を伝って火が広がりますが、そういった状況下でも住宅全体に火が広がりにくくなるよう、火の通り道になる部分に木材や断熱材といった“ファイヤーストップ材”を設置します。

省令準耐火構造の具体的な条件

省令準耐火建物は、以下のいずれかに該当する建物で、住宅金融支援機構が定める仕様に合致、または事前承認を得た建物がその対象になります。

【省令準耐火建物の条件】

  • 2×4(ツーバイフォー)工法(枠組壁工法)の建物
  • 木質系プレハブ建物
  • 木造軸組工法の建物

建築途中の家

山京スタッフアイコン

専門的な内容もあるから、どうしてもわかりにくいよね。でも大丈夫!詳しくご説明するので、ぜひ話を聞きにきてください!

省令準耐火建物のメリット

OKサイン

省令準耐火建物のメリットを見ていきましょう。

火災に強い家に住める

誰しも火災の被害は受けたくないと思っていると思います。避難訓練を実施したときや火事のニュースを目にしたときなどは、特にそう思うのではないでしょうか。

しかしながら、避けたくても避けられないことがある火災。そんな火災に強い省令準耐火構造の家というのは、住み手にとってひとつの安心材料になると思います。

万が一火災が発生したとしても、燃え広がるスピードが遅いので非難できる可能性や、初期消火できる可能性が大きく。また、隣家からのもらい火のリスクも軽減することができるんです。

火災保険料・地震保険料が割安になる

金のコイン

省令準耐火建物の大きなメリットと言えるのが、火災保険料が割安になる場合が多いという点です。

省令準耐火構造の建物は耐火性に優れているため、万が一火災が発生した場合に被害を抑えられる可能性大。そのため火災保険料が、場合によっては半額以下になることもあり金銭的なメリットが大きいのです。

例えば、火災保険における家の構造は、「T構造(耐火)」、「H構造(非耐火)」、「M構造(マンション)」の3種類に分けられていますが、H構造に分類されている木造建築は、火災リスクが高いため保険料が高くなる傾向にあります。

しかしながら、省令準耐火建物であれば木造建築でもT構造として扱われ、保険料が割安に。さらに地震保険の区分でも、保険料が安くなる可能性が高いんです。

投資のイメージ

保険料は保険会社や条件によって異なりますが、以下のような例があります。

【保険金額2,000万円/10年間】

  • 一般的な木造住宅:約35万円
  • 省令準耐火建物:約18万円

【保険金額2,500万円/10年間】

  • 一般的な木造住宅:約45万円
  • 省令準耐火建物:約23万円

10年、20年、30年と長期的に見るほど差額は大きく開きます。詳しい保険料は各保険会社に確認する必要がありますが、大きな節約効果になることは明らかなんです。

省令準耐火建物のデメリット

紙くず

省令準耐火構造の住宅にはデメリットもあるんです。

一般的な住宅に比べて費用がかかる

省令準耐火建物にするためには、さまざまな基準を満たす必要があります。そのため特別な資材を使用したり、手間のかかる構造になっているため、一般的な住宅に比べて費用がかかる可能性が高いんです。

工期が長引く

省令準耐火建物にするにあたり、一般的な住宅を建てるのに比べて工期が長引く傾向があります。

どうしても施工に手間がかかってしまうので多少、工期が延びるのは仕方ないと言えるかもしれませんね。入居を急いでいる場合は、あらかじめ工期をしっかりと確認しておきましょう。

 

 

デザインの自由度が下がる

省令準耐火建物は内壁の素材などが細かく決められているため、場合によっては希望するデザインの家が実現しにくいかもしれません。

したがって好きなデザインの住宅に住みたい、素材にこだわりがある、など理想とする住宅のイメージが固まっている人には不向きと言えるかもしれません。

ただ、実績ある施工業者であれば、さまざまな提案をしてくれることも多いので、ぜひ遠慮なく相談してみることをおすすめします。

省令準耐火建物はどんな人に向いている?

2つの家の模型

省令準耐火構造の住宅は、安心して暮らしたい方には非常におすすめです。

耐火性が低いとされる木造住宅でも十分な耐火性が確保できますから、万が一に備えて安心して暮らせる、家族を守れるというのは魅力。

火災に備えた住宅なので、家を長持ちさせたいという方にも向いているでしょう。

住宅が長持ちすれば、家族に譲る、賃貸住宅として運用する、売却するなど、住むだけではなく、さまざまな方法で活用可能です。

「準耐火構造」「耐火構造」とは!?

木の柱のイメージ

「省令準耐火構造」と似た構造に「準耐火構造」「耐火構造」というものがあります。

「準耐火構造」は、建築基準法にある「準耐火構造基準」をクリアする必要があり、具体的には、住宅の壁や床、柱などの基礎に一定以上の耐火性能があること、また、火事が起きてから最低でも45分間は家の倒壊や延焼がないことが求められるんです。

また、建築基準法における最も耐火性能が高い構造が「耐火構造」で、これは鉄筋コンクリート構造レベルの高い防火の性能が必要になるため、木造住宅だとコストや技術面でクリアするのが困難。

「省令準耐火構造」は、「準耐火構造」や「耐火構造」より基準がゆるめですが、一般的な住宅より耐火性に優れているうえ火災保険料や地震保険料の割引が適応されるため、利用する方も広がっているんです。

山京建設でも省令準耐火建物は対応可能です

山京建設でも、省令準耐火構造の住宅は対応可能です。

オプションとなりますが、お客様のご希望があればしっかりとご対応させていただきますので、気になるようであればぜひご相談いただきたいと思います。

もちろん迷っているという場合も、メリット・デメリットを含めご案内いたしますので、お気軽にお尋ねくださいね。

省令準耐火構造の特徴を把握してから検討しよう

省令準耐火建物には、ご紹介したようにメリット・デメリットがあります。火災保険・地震保険の保険料が抑えられる、将来に備えられるといったメリットの一方で、施工のための費用が割高になってしまうデメリットも。

施工の内容によっては、割引された金額よりも住宅を建てるのにかかった費用の方が高くなる恐れも考えられます。大切なのは省令準耐火建物にすることに納得できるかどうか。

省令準耐火建物のメリット・デメリットを総合的に考えて、判断していくのが重要になってくるでしょう。