贈与税が非課税になる対象は?いくらから課税される?計算方法を解説
親や祖父母からお金を受け取ることになった・・・住宅を購入する際にもこういった贈与を受けることは少なくありません。
ところで贈与税っていくらかかるの?うちは非課税になる?ならない?
こんな疑問をお持ちではありませんか?
本ページでは贈与税について詳しく解説。税率が上がらないよう、いくらまで貰えばよいのか?なども簡単に表にまとめまているので、参考にしていただけたら嬉しいです。
脱税のリスクや時効の期間についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
贈与税とは?
贈与税とは個人同士でお金の受け渡しをした際にかかる税金のことです。
基本的に「110万円」を超えると税金がかかり、その金額によって税率が上がったり、場合によっては非課税(税金免除)になったりなどのさまざまなケースが・・・
早い話、110万円以下であれば贈与税がかかることはなく、これを「暦年贈与」と言います。
ただしこの110万円は1年間のトータルであり、1回につきではないので注意が必要。
ただ110万円以下は非課税になるといっても、”計画的な贈与”は課税対象となります。毎年100万円を贈与すると約束し、その通りに数年間受け取っているような場合「定期贈与」と判断され、課税対象となります。
贈与税が非課税となるのは?
贈与税には非課税制度があり、この非課税制度や控除を利用することによって節税しつつ財産を受け取ることができるので、正しく理解しておきたいところ。
贈与税が非課税(税金免除)となる対象は次のとおりです。
【非課税対象】
- 住宅取得などの資金として贈与された場合
- 生活費や教育費として扶養義務者が贈与した場合
- 結婚・子育て資金として贈与した場合
- 夫婦間での居住用不動産の贈与があった場合
このあと各項目について、詳しく解説していきます。
1.住宅取得などの資金として贈与された場合
住宅取得の際に、父母・祖父母から贈与された際に非課税となります。
これは父母や祖父母といった直系尊属(父母・祖父母など自分より前の世代で直通する系統の親族のこと(養父母も含む))からの資金提供に限られます。
どのような住宅か?いつ取得したか?といった条件の他に所得金額なども条件が定められているので注意が必要。
国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」(→外部ページ)に詳しく記載されています。
契約の締結日 | 省エネなどの住宅 | 左記以外の住宅 | |
---|---|---|---|
消費税率10%の 住宅を取得した場合 | 2019年4月1日 ~2020年3月31日 | 3000万円 | 2500万円 |
2020年4月1日 ~2021年3月31日 | 1500万円 | 1000万円 | |
2021年4月1日 ~2021年12月31日 | 1200万円 | 700万円 | |
消費税率8%の住宅を 取得した場合・個人間で 住宅を取得し他場合 | ~2015年12月31日 | 1500万円 | 1000万円 |
2016年1月1日 ~2020年3月31日 | 1200万円 | 700万円 | |
2020年4月1日 ~2021年3月31日 | 1000万円 | 500万円 | |
2021年4月1日 ~12月31日 | 800万円 | 300万円 |
(↑ ディスプレイサイズが小さい場合は横スクロールで表をご確認いただけます)
最大3000万円が非課税となる上の表の「住宅資金贈与の特例」。非課税となるのは2015年~2021年12月末日までの贈与だから注意してね。ちなみにこの住宅資金贈与の特例は、贈与税の基礎控除の110万円と併用可能なんだよ!
尚、上の表にある「省エネなどの住宅(省エネ等住宅)」は下記の基準を満たした高性能住宅を指しています。
【省エネ等住宅】
- 断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上であること
- 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物であること
- 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること)
要するに、断熱性能・耐震性能・バリアフリー性能が高ければ高いほど、非課税枠が増える仕組みになっているというわけですね。
省令準耐火建物とは?省令準耐火構造の特徴や火災保険料について
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2.生活費や教育費として贈与された場合
扶養義務者である親や配偶者、兄弟姉妹が、扶養している者に対し贈与した場合は非課税になります。
ただし生活費や教育費などに使う場合はOKですが、貯金や投資に使う場合は課税対象となります。
3.結婚・子育て資金として贈与された場合
父母・祖父母から、こども・孫へ結婚・子育て資金として贈与された場合は1000万円まで非課税となります。
対象者は20歳から50歳未満のこども・孫。2015年度の税制改正以降に贈与された方が対象になります。
4.夫婦間での居住用不動産の贈与があった場合
結婚してから20年以上経っている夫婦間で居住用不動産の贈与があった場合に非課税となります。
居住用不動産が最高2000万円までであれば控除されます。
贈与税の税率は何%?
贈与税の税率は金額や年齢によって変わってきます。
特例贈与財産(20歳以上への贈与)
2015年以降に20歳以上の子や孫などへ贈与した場合にかかる税率で、一般贈与財産よりも税率が低くなっています。
税率 | 控除額 | |
---|---|---|
110万円~200万円 | 10% | - |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1000万円以下 | 30% | 90万円 |
1500万円以下 | 40% | 190万円 |
3000万円以下 | 45% | 265万円 |
4500万円以下 | 50% | 415万円 |
4500万円以下 | 55% | 640万円 |
(↑ ディスプレイサイズが小さい場合は横スクロールで表をご確認いただけます)
一般贈与財産
特例贈与財産に当てはまらない方が対象となる税率です。
親子であっても子どもが未成年である場合、この一般贈与財産にあてはまります。
税率 | 控除額 | |
---|---|---|
110万円~200万円 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1500万円以下 | 45% | 175万円 |
3000万円以下 | 50% | 250万円 |
3000万円~ | 55% | 400万円 |
(↑ ディスプレイサイズが小さい場合は横スクロールで表をご確認いただけます)
贈与税の計算方法
贈与税の計算方法は以下の通りになります。
▼計算方法
贈与された合計金額 - 基礎控除額110万円 = 課税価格
【重要】親から住宅資金のために贈与される場合
2020年12月に、10%の省エネ住宅を購入し、父母・祖父母から合計3000万円贈与された場合の計算方法です。
▼計算方法
受け取った額3000万円 - 基礎控除額110万円 - 特例控除額1500万円 = 1390万円
1390万円 - 控除額190万円 = 1200万円
1200万円 × 税率0.4% = 480万円
上の計算より、贈与税として納税するのは480万円となります。
申告・納付方法と期限
申告は贈与を受けた人の近くにある税務署へ申告書を提出します。
贈与された翌年の3月15日までが申告期限となっていて、納付は現金・e-Tax・クレジットカード・コンビニ支払いとなります。
贈与税脱税はバレる?
できれば税金を支払いたくない・・・というのは多くの方が思うことですが、贈与税の申告漏れはバレます。
そのときはよくても、税務署から突然”お尋ね”が届き、アンケートに回答して送らなければなりません。税務署は毎年税務調査を行っているため、現金の手渡しであっても簡単にばれてしまうのです。
ちなみに無申告すると、納税額の15%~20%加算されます。書類の偽造などの不正行為であればされに重い税金が課されるため、当たり前ではありますが脱税は絶対にしてはいけません。
贈与税の時効はいつから?
贈与税にも時効があるのをご存知でしょうか?
贈与税の時効は原則6年ですが、故意に行った悪質な脱税であれば7年になります。
贈与された翌年の3月16日からカウントし、6年が経過すれば時効に。
例えば2021年1月に贈与された場合、2022年3月16日からカウントスタートするので、2028年3月15日に時効が成立するというわけです。
ただ時効が6年もしくは7年ということですから、贈与があったことをすっかり忘れた頃に課税処分(ペナルティ)を受ける可能性は大きいので注意しておくべきでしょう。
まとめ
贈与税について解説しました。
贈与税は、年間110万円以下の贈与であれば発生しない税金となります。
誰がいつなんのためにいくら贈与したのかによって税率がまったく変わってくるので、ある程度の知識を持っておくことが重要。
贈与される側もする側も、税率を考えてから金額を決めるようにしましょう。心配であれば税理士に相談するのも良いと思います。